私も歯周病?
「リンゴをかじると歯ぐきから血がでませんか?」インパクトのあるCMが昔ありました。リンゴをかじるだけで血が出るなんて不思議だと思いませんか?これが,歯周病の症状の一つです。当時は,歯周病という言葉も一般に普及しておらず,重大な病気とも認識されていませんでした。歯周病は,文字とおり歯の周りの組織が侵される病気のことです。その昔,歯周病は歯槽膿漏と呼ばれていました。歯肉から出血したり,歯がグラグラするという病気です。一口に歯周病といってもプラークコントロール(歯磨きによるお口の清掃状態)が悪いだけの予備軍から,歯肉からの自然出血,歯の自然脱落といった重症の人までさまざまです。
歯周病はそれ自体を主訴として来院する患者さんは多くはありません。むしろ,まったく自覚症状のないまま,あるいは自覚症状を病的症状と認識しないまま経過してしまい,虫歯を主訴に来院され,初めて歯周病にかかっていることを指摘される場合が少なくありません。これが,歯周病がサイレントな病気と言われる所以です。しかし,まったく自覚症状がないわけではありません。歯を磨いたときに歯ブラシに血がつく,口臭がする,朝起きたときに口の中がネバネバする,冷たいものや熱いものが歯にしみる,歯と歯の間に隙間が空いた,食べ物が挟まるようになった,食べ物が噛み切れないことがある,歯肉が腫れた,歯が動いてきたなどが,思い当たったら歯周病になっているかもしれません。自分の口腔内の症状を自覚し,早めに対処することが大切です。
歯科医院では,初診時に歯周病の進行状態とその原因を診査し,口腔全体の状態を把握します。そのときに,歯肉からの出血をしっかり診査してもらいましょう。歯肉の炎症の指標はBOPといわれる出血です。出血する場所があれば,すくなくとも歯肉炎を起こしていることなのであなたも立派な歯周病です。少なくとも半年に1度はかかりつけの歯科医院に行ってBOPの測定をしていただくことをお勧めいたします。しかしながら,多くの歯科医は歯周病の進行程度を「ポケットの深さで判断できる」と考えます。
ポケットの深さだけでは歯周病の状態は診断できません。的確な診断を受けるためにBOPを診てもらいましょう。
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