終わりに
さてみなさんいかがでしたか。みなさんにとって有益な情報はありましたか。?歯科医学の中で歯周病学という分野は,まだ比較的歴史が浅く,大学の歯学部や歯科大学に歯周病を専門とする診療科や講座ができてからせいぜい20−30年というところです。その間に原因や病気の進行の仕方の解明や治療法の確立などが,驚くべきスピードで進み現在に至っていますが,いまだ不明なことも多く,新しい説や治療法があらわれるたびに,臨床の現場に混乱とまではいかなくても多少の影響を与えています。そういった現状だからこそ,科学的根拠に基づいた治療というものが大切なのです。
歯科治療の中で歯周治療というのは,家で例えるといわゆる基礎工事にあたります。どんなにきれいで立派で最新のシステムを備えていても,その家の土台がしっかりしていなければその家はいずれ傾いてくるでしょう。もしあなたが不幸にして歯医者に行かなければならなくなった時は,きれいに治してもらおう(これももちろんとても大切ですが)と考える前に,ぜひ歯周組織の状態をチェックしてもらってください。そしてもし歯周病にかかっているのなら,必ず歯周治療をきちんとしてもらってからその後の治療(つめたり,かぶせたり,矯正したり)をするべきです。さらに自分は大丈夫,昔から歯には自信がある,ちょっと磨かなくても虫歯にはならない体質だから,なんて思っている人はあしたにでも歯医者に行って調べてもらったほうがいいと思います。こういう人が一番危ないのです。
我々は毎日の診療の中で,本当に多くの人たちが,自分が歯周病にかかっていることに気づかないでいることを知っています。そしてもしあなたがこのサイトを見て,我々があなたのお役に立てるならとてもうれしいと思います。
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