歯周病大辞典


目 次

歯周組織
 歯の周囲の組織の総称で全部で4種類あります。
歯 肉(歯ぐき) お口を鏡でみたときに見えるピンク色の組織です。
セメント質 歯の根の表面を覆っている組織です。
歯根膜(歯と歯槽骨を結ぶ線維) 実際は細い繊維の集まりです。これにより歯がハンモックのように支えられています。
歯槽骨(顎の骨) 歯はこの骨の中に植わって支えられています。
歯周病では炎症によりこの歯周組織が破壊されるため,歯を支えることができなくなります。

プラーク(プラークコントロール)
 プラークは肉眼で見ると白くねばねばしていて食べ物のかすのように見えますが、顕微鏡で見るといろいろな種類の細菌が集まって形成されます。この細菌性プラークをなるべく少なくしようとすることをプラークコントロールといいます。
代表的なものに毎日のブラッシングがあげられます。

歯周病原性細菌
 プラーク内にはヒト歯周炎の原因菌として、Porphyromonas gingivalis(P.g.),Actinobacillus actinomycetecomitans(A.a.) Bacteroides forsythus(B.f.)これらは嫌気性、通性嫌気性細菌といって歯周ポケット内の空気の少ない場所で活動し、歯周組織に炎症を引き起こします。
 
プロービング
先端に目盛りのついた歯周プローブを用いて歯周ポケットの深さを測る事をいいます。歯周組織の検査項目で、疾患の程度や治療効果の目安になります。また,プロービングにより,ポケット底部の炎症(BOP)も診査します。

スケーリング・ルートプレーニング
 歯周病の初期治療で行われるもので、歯肉の上(歯肉縁上歯石)や歯周ポケット内にもぐりこんで付着している歯石(歯肉縁下歯石)を専用の器具(スケーラー)を使って、歯科医や歯科衛生士が取り除きます。歯周ポケットが深い場合には、麻酔をすることもあります。ある程度の歯周病はこの処置で治ります。

スケーラー
歯に付着した歯石を取る為の道具。手用(手で使うもの)と機械式のものがあります。機会のものは空気で動くものもありますが,大部分は超音波スケーラーと言われる先端が1秒間に25000から40000回ぐらい振動するものです。大まかな歯石を器械式スケーラーで取り,細かい歯石や歯肉縁下(歯肉の下に隠れている部分)の歯石は手用スケーラーで取り除きます。
手用にもさまざまな種類があります。

スケーラー
 手用スケーらには次の種類があります。
鎌型(シックルタイプ)
のみ型(チゼルタイプ)
鋭匙型(キュレットタイプ)
やすり型(ファイルタイプ)
鍬型(ホウタイプ)
この中で我々が一番使うのは鋭匙型スケーラーです。
(これ以外のスケーラーでは仕事にならないといっても過言ではありません。)

歯石
スケーリングで除去する歯石とは文字通り歯についた石のような物体です。
付いている部位のよって2通りに分けられます。お口の中に露出している部分についている縁上歯石と歯肉の下に隠れていて通常は見えない縁下歯石です。一般的に縁上歯石は白く,縁下歯石は黒い事が多いです。どちらも磨き残しのプラークに唾液中のカルシウムが沈着して石灰化したものです。
縁上歯石は超音波スケーラーでも除去できますが,縁下歯石はキュレットタイプのスケーラーを使用しないと十分に除去する事はできません。
縁下歯石があるようでしたらキュレットタイプのスケーラーで除去してもらいましょう。


  これは下の前歯の裏側についた縁上歯石です。
歯の根元のところに白くついているのが歯石です。
下の前歯の裏側は歯石が付き易い所です。
日頃から丁寧に磨き,つかないように注意しましょう。
また鏡を見て歯石が付いているのを発見した場合は歯科医院に行って除去してもらいましょう。
一度付いてしまった歯石は残念ながらブラッシングでは除去できません。

 

歯周外科手術(フラップ手術)
 再評価時に歯周ポケットが4mm以上ありBOP(+)炎症が残ってる場合や大臼歯の根分岐病変など器具のアクセスが悪い場合は、歯肉に切開をいれ明視下にて炎症性組織を除去します。中等度以上の進行した歯周炎の治療に行われます。

組織再生誘導法(GTR法)
 歯周病によって失われた歯周組織を再生する方法、特殊な膜を用いる。吸収性材料と非吸収性材料があります。
吸収性の膜は手術後自然に溶けるので除去する必要は無い。しかし,非吸収性の膜を使用した場合は通常
6週間後ぐらいに取り出すための処置が必要になります。(健保適用外の治療です。)

エムドゲイン
 
上記のGTR法と同様に失われた歯周組織を再生する術式の一つ。皆さんの歯が赤ちゃんのころ体内で作られた環境を術野で再現し,歯周組織を再生する方法。開発はスウェーデンのBIORA社。最大のメリットはGTR法と比べメリットとして 1 術式が簡単 2 術後の感染の確率が低い 3 2次手術の必要が無い といったことがあげられます。(健保適用外の治療です。)

インプラント
 
永久歯を失った場合,これまでは両隣の歯をつかって治療するブリッジ。もしくは義歯(入歯)で治療するのが一般的でした。しかし両隣の歯が健康で削るのがもったいない。また義歯は嫌だ!という方も少なくありません。インプラントとは顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み,その上に歯を作っていく治療法です。現在の主流派チタン製のネジを使用するものです。 1965年にスエウェーデンのブローネマルク先生が開発したブローネマルクシステムというものが一番歴史があります。それをもとに現在では様々なメーカーが開発,販売しています。我々のサイトにあるお勧めの歯科医院では3iというメーカーのインプラントを使用しています。このメーカーはアメリカのメーカーでブローネマルクシステムを改良し抜群の成功率を誇っています。(健保適用外の治療です。)治療の流れはだいだい下記のとおりです。

診査診断(レントゲンや模型で分析をして患者さんの状態を把握します。必要に応じてCTを撮影する事もあります。)
 

1次手術(顎の骨にインプラントを埋入する手術です。局所麻酔下でおこないます。)
 

治療期間(下あごは通常3ヶ月,上あごは4ヶ月程度の時間をあけます。この時間はインプラント体と顎の骨がつくために非常に重要です。)
 
2次手術(1次手術で生めたインプラント体に上部の部品を連結する手術です。)
 
上部構造製作(上の歯の部分をつくります。)
 

メインテナンス(歯を入れた後定期的にお手入れをしていきます。)

メインテナンス
 
歯周治療に終りはありません。動的治療が終了した後も,定期的にメインテナンス(お手入れ)をする必要があります。その期間は個人差があるので一概には言えませんが短い人で月に1回,長い人で半年に1回ぐらいにペースでチェックしていきます。これにより,プラークコントロールレベルの維持,口腔疾患の早期発見,早期治療が可能になります。

 

 

  はじめに

  歯周病とは? 

  私も歯周病? 

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  歯周病の治療法

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  インプラント治療

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  終わりに・・

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